ポータブル電源を選ぶ際、性能や価格だけでなく「どんな会社が作っているか」も気になるところです。ここではJackery(ジャクリ)について、会社概要・過去の事故対応・サポート体制を、確認できた範囲の情報にもとづいて整理します。
会社概要
Jackeryは2012年、米カリフォルニア州フリーモントで設立されました。創業メンバーには元Appleのバッテリーエンジニアが加わっており、リチウムイオン電池技術を背景に持つ企業です。2015年に世界初とされるリチウムポータブル電源を発売し、業界の草分け的存在として知られています。
日本向けの販売・サポートを担う「株式会社Jackery Japan」は、2019年9月20日に東京都中央区で設立された別法人です。法人番号公表サイト(gBiz、政府公式)で確認したところ、被保険者数(従業員数)は31人で、代表取締役は高橋勝利氏です。
日本国内のポータブル電源・ソーラーパネル市場において、Jackery Japanは自社発表として「7年連続売上・販売台数No.1」(2019〜2025年、フロスト&サリバン調べ)を掲げています。これは企業の公式発表にもとづく数値である点には留意が必要です。
過去の発火事故とその対応
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の製品事故情報検索「SAFE-Lite」で確認したところ、経済産業省への重大製品事故として通知されたJackery Japan製品の火災事故が3件記録されています。
| 事故発生日 | 場所 | 型式機種 | 被害 | 事故番号 |
|---|---|---|---|---|
| 2020年11月1日 | 茨城県 | Jackery ポータブル電源700 | 製品焼損(人的被害の記載なし) | A202000636 |
| 2022年8月5日 | 東京都(車内) | PTB101 | 製品・車内焼損(人的被害の記載なし) | A202200428 |
| 2023年2月16日 | 神奈川県 | Jackery ポータブル電源700 | 1名軽傷、周辺焼損 | A202200984 |
事故番号はNITE「SAFE-Lite」で検索した際にヒットする管理番号です。詳細を確認したい方は上記リンクから「Jackery」で検索し、該当の番号を探すことで同じ記録にたどり着けます。
NITEの調査記録によれば、3件とも電池セルや基板の焼損が著しく、いずれも「製品起因か否かを含め、事故原因の特定には至らなかった」と結論づけられています。2020年の事故では「リチウムイオン電池セルから出火したものと推定される」という記載がある一方、2023年の事故では現場に他社製のこたつ・充電式掃除機も焼損しており「外部からの延焼の可能性も考えられる」とされるなど、原因は事案ごとに異なり、一律に「Jackery製品の欠陥が原因」と断定できる内容ではありません。
これらのうち2020年のJackery 700については、正式なリコール対象にはならなかったものの、公式サイトに申請フォームが設けられ、送料無料での回収と無料の交換・修理という対応が取られたことも確認できました。実際、消費者庁のリコール情報サイトにはポータブル電源のリコール事例(EcoFlow・Willbe・SUNVIC・C&Cなど)が複数件掲載されているものの、Jackery製品は含まれておらず、「正式リコールではなかった」という経緯と一致します。
電池の安全性への取り組み
2023年6月以降に発売された「Plusシリーズ」から、Jackeryはリン酸鉄リチウムイオン電池の採用を進めています。リン酸鉄リチウムは、従来の三元系リチウムより熱に強い(熱分解が始まる温度が高い)とされる電池の種類です。なぜリン酸鉄が選ばれるのかについては、ポータブル電源はリン酸鉄リチウムを選ぶべき理由で詳しく解説しています。
ただし、業界他社と比較するとリン酸鉄モデルへの移行時期はやや遅かったという指摘もあり、この点も踏まえて製品選びの参考にしてください。
日本語サポート体制
Jackery Japan公式サイトで確認したところ、チャット・メール・LINEでの日本語サポートを受け付けています。購入時から3年間の基本保証があり、公式サイトでの製品登録によって最大5年まで延長できる制度も用意されています。
まとめ
Jackeryは業界の草分け的存在として長い実績を持つ一方、NITEに記録が残る火災事故が2020〜2023年で3件あり、業界内でのリン酸鉄リチウムへの移行もやや遅めでした。ただし、これらの事故はいずれもNITEの調査で「製品起因か否か特定に至らなかった」とされており、明確な製品欠陥と断定されたものではありません。2020年の事故後は回収・交換体制を整え、現行モデルではリン酸鉄採用が進んでいます。日本語サポート・保証制度も一定水準整っています。「無条件に安心」でも「危険」でもなく、こうした経緯を踏まえたうえで、購入時にPSEマークや電池の種類を確認する、という姿勢がおすすめです。